身分証明書と聞けば「あー、免許証や保険証ね」と思われる方は多いでしょうし、またそれはそれでその通りです。
しかし、ここでは、市役所などの役場で取るものをご紹介します。
日常生活で使う身分証明書と区別するため「市町村の交付する『身分証明書』」と言ったりします。
市町村の交付する身分証明書は、
- 「禁治産又は準禁治産者の宣告の通知を受けていない」こと。
- 「後見の登記の通知を受けていない」こと
- 「破産の通知を受けていない」こと
という3点を証明するものなのです。
※ちなみに、「禁治産」「準禁治産」という制度は平成12年に廃止されています。
一定の個人情報はぼかしましたが、僕の身分証明書はこんな感じです。
これがどういう時に必要かというと、例えば国家資格(弁護士や僕ら行政書士も)を登録して、その資格を使って仕事をするとき。
警備員や生命保険募集人など、「自己破産手続き中は就けない仕事」に就くときも必要ですね。
あとは金額の大きな契約(例えば不動産売買)をするときなどです。
そして、行政書士の業務としてよくあるのは、個人や法人が建設業許可などの許認可申請を行うとき、です。
つまり、上に挙げた3つの事柄(禁治産、後見、破産など)に該当している場合にはその行為が許されないことをする時に登場してくるわけです。
先ほど述べたように、禁治産(準禁治産)という制度は平成12年に廃止されましたが、もともとは知的障害や精神障害などにより物事がうまく判断できない方やこの当時は性格上ひどい浪費癖があって散財してしまう方も(準)禁治産者となっていました。
本人が単独で財産を処分する行為などを制限し、誰か他の人が処分の判断、管理をすることにより、建前上は本人の利益を守っていたのです。
後見の登記というのは、つまりこれが平成12年以降に禁治産等の制度にとって変わった「成年後見制度」に関するものです。
性格上の浪費家なんかは保護の対象にはなっていませんが、やはり知的障害、精神障害、認知症などでうまく物事が判断できない方を守るためのものです。
そういう方は成年被後見人(判断能力の程度により「被保佐人」「被補助人」と区別があります)となり、後見の登記がされます。
破産の通知というのは自己破産を申し立て、裁判所がその申し立てを受けて破産開始決定を出していて、それが役所に通知されている状態のことです。
自己破産手続きと免責手続きを終了し、「免責確定」まで至ると「通知を受けていない」に戻ります。
しかしこの市町村の交付する身分証明書は単独で求められることはさほどなく、大抵の場合「登記されていないことの証明書」も併せて必要になってきます。これは、先ほど述べた平成12年の制度変更により二段構えになってしまった側面もあります。
面倒ですね。
登記されていないことの証明書についてはまた後日。