今回のテーマは、犯罪収益移転防止法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)です。
普通に暮らしているとあまり聞き慣れない法律ですが、その通り、かなり壮大な範囲をカバーする法律です。
その辺はおいといて。
ここでは健やかな市民生活に身近な部分だけお話すると、これは口座譲渡を罰する面があります。
預金口座の譲渡ですよ。他人にタダで渡すのも、売るのも譲渡ですから犯罪になります。
あと刑法の詐欺罪とも絡みますが、口座譲渡の意図をもって口座を開設することも犯罪です。
他人の口座でどうするんだって、他人名義の預金口座というものは、意外とニーズはあります。
何に使われるのか、勘の良い方は分かるかもしれませんが、振り込め詐欺や架空請求、ヤミ金融などです。犯罪に使われるんですよ。
自分の口座でそんなことやってたらすぐ身元バレますからね。
まあ、例えば家族が口座名義本人の利益保護の意図で口座を預かり管理することはここでいう譲渡には該当しないと思われますが、いくら家族であっても、下手に口座をやり取りすると危険です。
前職では、その辺に絡む業務も見てきましたが、口座譲渡をしちゃった人は、「まさか自分の口座がそんなことに使われるなんて・・・」やら「そんなことに使ったのは口座を譲り受けたヤツであって、自分は悪くない!」という主張をされることもありますが、他人から口座譲渡を要請されて、何に使われるかもわからないのに譲渡してしまった時点でアウトです。
口座を受け取った人は、他人(口座名義人)になりすまして犯罪由来で金を受け取ったり、金を引き出したり(実際には、犯罪口座をいくつかかませて資金移転を繰り返すことも多々ありますが)するのです。
自分の口座が、そんな裏社会で犯罪に使われるなんて、悲しいですよね。
自分の口座のせいで、振り込め詐欺やらヤミ金の被害がなくならないのは責任重大です。
なので、口座譲渡は、絶対にしてはいけません。犯罪の手助けをしているに等しいのです。
で、それやっちゃうとどうなるかなんですが罰金です。罰金ってことは刑罰ですよ。
ただ、個人的にはもっとキツイだろうなと思う仕打ちがあります。
これから言うことは、ケースバイケースなので、必ずそうなるとは限らないことは付言した上で・・・・。
自ら保有する口座が凍結(本当はこういう言い方しません)された上で、新しい預金口座ももう作れなくなるんですよ。
自分が口座を保有していた銀行だけでなく、すべての銀行で。(これ、本当に最悪のケースです。)
銀行、つまり金融機関の立場に立ってみれば分かると思いますが、銀行はクリーンなイメージが絶対に必要です。銀行内に、犯罪利用されている口座があっては困るのです。
なので、該当口座についてまずは取引を停止させます。もう預入れも引出しもできなくなります。
そして、そもそも警察からその凍結要請来ていることも多いですが、とにかく警察と事情は共有するはずです。
そしてまた、そういう口座に関する犯罪を犯した人が、顧客にいても困るのです。
もうその人がいくら新しい口座作りたいと言ってきても、作らせたくないですよね。普通は。
さらには、それは他の銀行にも共有されることがあります。
そうなったら、その銀行も、そいつ名義の口座が自分とこにないか調査、あったら凍結、なくても今後そいつが顧客として来た際は通常、口座開設させません。
するとどうでしょう。
現代社会になくてはならないと言っても良い預金口座すら持てない可能性があるのです。
給料も振込のところが圧倒的多数でしょうが、勤務先に言えますか?「私、口座作れないんですよ」って。
年金とか、どうやって受け取るんですか。
そのペナルティを与えなければならないほど、口座譲渡が巡り巡って社会に与える不利益は大きいのです。
もう一度言いますが、これは最悪のケースで、理屈上、そうなってもおかしくないということであって、必ずそうなるということではありません。
また改めてどこかで話題にしようかと思いますが、個人的には、これは自己破産におけるデメリットの比でなく辛いペナルティだと思います。(というか、自己破産は噂で言われるほど不利益はない)
まあ今回はそういう話です。
口座譲渡や振り込め詐欺などの犯罪を、警察や銀行も努力して撲滅しようとしてるんですね。
あ、そうだ。もし振り込め詐欺や架空請求、ヤミ金等の被害にあってお金振り込んでしまったという方は、「振り込め詐欺救済法」ってワードを調べてみてください。
もしくは、弁護士等の専門家に相談してくださいね。何事も、やるだけやりましょう。