反社会勢力ではない表明・確約書
都民等の努力義務の一つとして、「事業者の契約時における措置」があります。
これは、何か第三者と契約するときに、相手方が暴力団関係者でないことを確認すると共に、後に、万が一相手方が暴力団関係者と判明した場合、催告なく契約を解除できる旨の特約を定めるよう努めること、とされています。
ちなみに、「催告なく」とは「事前に予告などを一切することなくいきなり」と考えていただければ結構です。
努力義務とは言っても、コンプライアンス強化が命題となる昨今においてこれについては現在多くの事業者で既に対応しています。
具体的には、何らかの契約時に契約書類の一部として「暴力団等反社会的勢力ではないこと等に関する表明・確約書」を契約の相手方から取得します。
具体的な内容
「暴力団等反社会的勢力ではないこと等に関する表明・確約書」は、契約時に相手方から以下の点について表明させる文書です。
- 暴力団等反社会的勢力ではないこと
- 反社会的勢力との関係がないこと
- 暴力団等反社会的勢力に類する行為をしないこと
- 下請けや関連事業者に暴力団等反社会的勢力を用いないこと
そして、これらに虚偽があった場合や、後にこれらに該当することとなった場合は下記のことを確約させる文書でもあります。
- 催告なしで取引停止、契約解除となっても異議を出さず、契約解除によって損害が発生したとしても賠償等を求めない、かつ損害は全て自己の責任であると確約する
従って、この表明・確約書を取得することによって、事業者は「充分に努力義務を果たした」とも言えます。
契約前の段階で、直接本人に、反社会的勢力ではないことを確認することができ、そもそも最初から上記に該当するようであれば、その時点で排除することが可能となります。
表明・確約書作成、取得時の注意点
一般的な契約書などは、契約条項がつらつらと記載されていて、契約の当事者はそれら内容を確認し、末尾に署名(記名)押印をするだけ、というスタイルが多いですが、この表明・確約書においては項目ごとに「相手方自身の行為(挙動)によって記録に残す」というスタイルが推奨されています。
これはどういうことかというと、各項目ごとに署名者本人に直接「表明・確約<いたします ・ いたしません>」の記載を求めるか、あらかじめ<いたします ・ いたしません>の文字を記載しておいて、署名者本人に、どちらかに○をつけさせる方式ということです。
これにより、署名者は自ら明確に意思表示をしたことになり、後になって「署名はしたけど内容は見てなかった」というようなことを言えなくなるわけです。
なお、当事務所でもこの表明・確約書は導入しております。